福業Q&A

2019年9月23日Q&A更新

本福業推進Q&Aは、福祉就労基盤の充実と強化を目的に、専門家等の意見を伺い参考にして作成しています。

副業についてはまだまだ未整備な部分や課題が散見され、制度や就労環境の整備が必要な状況がうかがえます。しかし、さまざまな福祉就労場面での対人援助政策は待ったなしの状況です。

本プロジェクトのQ&Aが働く人や経営者にとって福祉職理解促進の一助になれば幸いです。このQ&Aでは基本的な事例に絞って取り上げています。例外を含むすべてのケースに対応しているわけではありませんのでご留意ください。

「副業解禁」副業の可能性を拓く福業Q&A集
「副業解禁」福業の可能性を拓く 福業Q&A集

政府の「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」の議論を踏まえ、今後、労働政策審議会等で制度改革を含む議論が加速していく見通しです。
当サイトでは、最新情報を随時更新してまいります。

改訂のマークのある項目は、最近その項目の内容を修正したものであることを示します。また、追加のマークのある項目は、その項目が最近このQ&Aに追加されたものであることを示しています。

※ 本Q&Aは、福祉就労基盤の充実と強化を目的に、専門家の意見を伺い参考にして作成しています。

  1. 副業とは、主たる業務(本業)以外で副収入を得るための従たる業務(仕事)のことです。仕事を複数持つという意味で複業、兼業、サイドビジネス、ダブルワーク、セカンドキャリアとも呼ばれる場合があります。

    福祉就労基盤の強化や推進を目指す本プロジェクトにおいては福祉の現場で働くという意味におい て「福業」としています。副業には「雇用」や指揮命令を受けずに業務の完成をめざす「請負」など様々な形態がありますが、このQ&Aでは、本業も副業も会社や事業所との「雇用」関係により働くことを主に想定しています。

  2. 福祉職の現場では、社会的支援の必要な人に対して、その人の生活の質(QOL)の向上を目指す多様なサービスが求められています。

    一般的な企業イメージにあるノルマや競争ではなく、働く人も支援を受ける人も地域のなかで豊かに生活し、人として尊重され生きることの大切さを理念としている場です。

    これまでの専門性やスキルが発揮できる場があるだけでなく、支援の必要な高齢者や障害のある人、また支援の必要な人や子どもたちとコミュニケーションを育みながら就労する場でもあります。

  3. 福祉現場においては、多様なボランティアがかかわって運営されているところもあります。ボランティアは自発性を伴う無償の行為であり、ボランティアとしてかかわることの方が受け入れやすい場面もあります。

    副業(アルバイト雇用)は、雇用先の意向に基づき報酬を得ることを前提とした行為であり、ボランティアとは違う成果と責任が求められます。

    福祉現場は色々な方々とのつながりで支えられており、雇用という側面だけで運営がなされていないことも特徴のひとつと言えます。

  4. 副業を希望する際には、現在働いている会社とのコミュニケーションや適切な自己管理が求められます。ご自身の健康状態をしっかりと把握し、長時間労働により健康を損なうことのないように十分な注意が必要です。

    副業中に困ったことがあれば一人で抱え込まずに、副業先において相談できる管理者や職員さん、第三者である産業医などの存在を把握しておくと良いでしょう。当然のことながら、副業先の利用者の情報や秘匿事項にかんしては守秘義務が課せられ、福祉事業所と守秘義務契約を交わす場合もあります。

    また、ケースとしては少ないかもしれませんが、本業先と副業先の利益が相反する場合や競合する場合はその状況を避ける必要があります。お互いの利益に干渉しない副業先を選択しましょう。

  5. 保育園で子どもの支援をするには保育士の資格が必要です。逆に高齢者施設でお年寄りの支援をする場合は必ずしも資格保持が前提とはなっていません。

    したがって、保育現場で想定されるアルバイト雇用ニーズは、直接子どもを支援する業務以外の周辺業務ということになり、高齢や障害現場で児童養護施設などでは、直接支援する場合も含む周辺業務が対象となっています。

    ※ 具体的なアルバイト雇用ニーズは、「福業ニーズ条件など参考例」をご覧ください。

    本副業推進モデルでは、あくまでも多様な資格を有する支援専門家のサポートを行う業務であり、現場職員の業務負担の軽減につながる、直接支援以外の周辺業務を想定しています。

    また、副業先によっては今後、資格取得にむけたアドバイスや応援を得られる場合があります。

  6. 労働契約によって雇用されて働く場合、現在の法令では本業と副業の労働時間を通算することが求められており、法定労働時間を超えた部分については、割り増し賃金の対象となります。

    健康確保への配慮や労働時間を事業所が把握するために、労働時間等の自己申告を求められることも考えられます。

    ※ 労働時間通算については、日々の事務の煩雑さや実行性が問われており、今後、労働政策審議会等において積極的な議論がなされる見通しです。

    なお、個人事業主として依頼を受けた仕事(委託契約・請負契約等のケース)は労働基準法の適用を受けず、労働基準法上の管理監督者が副業・兼業を行う場合については、「労働時間」「休憩」及び「休日」の規定を適用除外としています。

    ただし、長時間労働防止の観点から、厚労省の副業・兼業の促進に関するガイドラインでは、「過労等により業務に支障を来さないようにする観点から、その者の自己申告により就業時間を把握すること等を通じて、就業時間が長時間にならないよう配慮することが望ましい」としています。

  7. 京都府最低賃金(2019年10月1日~)は909円ですので、福祉事業所における時給は909円以上の設定になります。

    また、本業での就労時間を含めて、1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えて働く場合、副業先の時給単価の125%以上が支払われることになります。

    法定労働時間を超えた場合の一例
    1. ex:時給1,000円の場合は1,250円以上/1時間
    2. ex:本業就労時間35時間/週の場合で、副業先の時給単価が1,000円の場合は、副業5時間までが時給1,000円で、6時間目以降から法定労働時間を超えるため1,250円以上/1時間になります。
  8. 健康状態に十分留意し、長時間労働をしないなどの配慮は必要ですが、労働者を使用する立場である事業主は、36協定の締結・届出の条件を満たすことによって、原則一日8時間、週40時間(特例44時間)の法定労働時間を超えて働かせることが可能となります。

    なお、労働基準法令では事業場や事業主が異なっても労働時間を通算することになっており、法定労働時間を延長させた使用者(労働契約が遅い方又は通算した所定労働時間が既に法定労働時間に達していることを知りながら労働時間を延長するときは先に契約を結んでいた使用者も含め、延長させた使用者)が割増賃金を支払うことになっています。

  9. 年次有給休暇の取得日や休日については労働義務が免除されるため、労働時間以外の時間として、労働者が自由に利用できると考えられています。

    ただし、過労などで本来の労務の提供に支障をきたしたり、健康確保が難しいと判断される場合では問題となります。

    また、労働時間の通算や長時間労働の防止などの観点から一定の制限を受けるケースも考えられます。

  10. 有給中であっても労働時間として通算されるため、法定労働時間を超える場合の割増は、Q-8 A 後段の通りとなります。

  11. 現職場で副業が許可されていることを前提として可能です。

    また、法定労働時間を超えて労働する場合においても、その職場が36協定届出の条件を満たしていれば基本的には可能です。

  12. 例えば、福祉事業所内において、樹木の剪定やガーデニング、情報管理システムの構築、人材育成・研修などの専門的な業務において、一定の報酬金額の提示を受けて、指揮命令を受けず仕事を完成させる「請負」という形態もあります。

    この場合、仕事の完成が報酬の条件ですので、指揮命令を受けて働いた時間分の賃金を労務の代償として受け取る「雇用」にはなりません。請負は労働基準法の適用も受けません。

  13. トヨタ財団2016年度国内助成プログラム「しらべる助成」の調査から、副業禁止が慣例的に行われているケースが散見され、禁止理由についても明確な根拠をもたないまま、包括的な禁止規定となっていることが多くみられます。

    また、福祉現場に限って、あるいは福祉現場に限ることなく、就業規則を見直して、副業を可能してもよいという経営者が一定数いる結果も出ており、副業は「魅力ある豊かな職場環境づくり」の一環としての認識が広がりつつあります。

    副業は副収入を得るという行為だけではなく、人材育成の手段として、またセカンドキャリア形成や、様々な経験を得て豊かな人生設計を進めるための有効な手段とも言えます。

    副業は、超高齢社会における福祉就労基盤の強化に向けた有効な手段として、今後ますます必要になります。社内提案や社内会議時のテーマとして議論を進めていただきたいと考えています。

    介護問題などは誰しもが通る道です。価値観を共有し理解を深めながらの取組みとなりますことを期待しています。

  14. 本業先の就業規則などで副業が明確に禁止されていない場合でも、「副業禁止は当然のこと」として捉える経営者や経営サイドの考えがあることも調査結果から明らかになっています。

    コンセンサスを得ないまま、副業の実態が会社に知れるところとなった結果、何らかのトラブルが生じるケースも想定されます。

    また、就業規則で副業を禁止していない場合でも、本人からの届け出を求めている会社もあるようです。

    まずは、本業の会社等において副業の意向を伝え、その可否を確認し、コンセンサスを得て従事することが副業先にとっても安心かつ適切な手続きとなるのではないでしょうか。

    本プロジェクトでは、福業の必要性・重要性を経営者の方々にも積極的にPRを行い、福業環境の充実を図っていきます。

  15. 給与所得以外の副業所得が20万円を超えると所得申告の義務が生じるため、確定申告が必要です。

    ※ 確定申告とは、所得税を納める額を確定するための手続きです。

    ただし、給与所得者が副業で給与収入を得た場合、年末調整は本業の会社等が行いますが、副業先は行わないため、収入金額に関わらず原則、確定申告を行う必要があります。

    確定申告を行う際には、本業での源泉徴収票と副業での源泉徴収票が必要になります。その年の1/1〜12/31の課税所得に関して、翌年2/16~3/15までに確定申告書を所轄税務署長に提出します。

    ご不明な点は税務署の相談窓口を活用しましょう。

  16. 業務災害が発生した事業所における労働災害として扱われます。たとえば、副業先のB事業所での勤務時間中の業務災害はB事業所での労災保険の対象となります。

    通勤災害については、本業のA事業所から副業先のB事業所への通勤災害はB事業所の労災適用となり、B事業所から自宅までの帰路もB事業所の労災適用となります。

    なお、労災保険では、労災が適用される事業所における平均賃金を基に給付がなされるため、留意しておく必要があります。

    ※ 雇用保険は原則として主たる賃金を受ける雇用関係のみに適用となります。

  17. 副業先での1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が同じ事業所で同様の業務に従事している一般社員の4分の3以上である場合は被保険者となります(例外あり)。

    長時間勤務となるため、該当する人は少ないと思われますが、該当しそうな場合は、副業先の人事労務担当者に確認しましょう。

  18. 「労働者は勤務時間以外の時間を事業上外で自由に利用できる」との判例がある通り、包括的に禁止することは望ましくないとされています。

    副業・兼業を禁止する場合、企業秩序の維持や適切な労務提供の確保など、やむを得ない事由以外に限られます。実際に副業・兼業を進めるにあたっては、労働者と企業双方が納得感を持って進めることができるよう、労働者と十分にコミュニケーションをとることが重要です。

    また、具体的な規定については厚生労働省のモデル就業規則やガイドラインを参考として、自社に合った規定にすることができます。

    以下、「副業・兼業の促進に関するガイドライン 厚労省」より

    (2)副業・兼業を認める場合、労務提供上の支障や企業秘密の漏洩等がないか、また、  長時間労働を招くものとなっていないか確認する観点から、副業・兼業の内容等を労働者に申請・届出させることも考えられます。
    その場合も、労働者と企業とのコミュニケーションが重要であり、副業・兼業の内容等を示すものとしては、当該労働者が副業・兼業先に負っている守秘義務に留意しつつ、例えば、自己申告のほか、労働条件通知書や契約書、副業・兼業先と契約を締結する前であれば、募集に関する書類を活用することが考えられる。

    (3)特に、労働者が、自社、副業・兼業先の両方で雇用されている場合には、労働時間に関する規定の適用について通算するとされていることに留意する必要がある。
    また、労働時間や健康の状態を把握するためにも、副業・兼業の内容等を労働者に申請・届出させることが望ましい。

    (4)各企業における検討にあたっては、今般、厚生労働省が改定したモデル就業規則の規定を参照することができる。

  19. 現行制度では、長時間労働の防止や健康確保措置、割増賃金支払いの判断などにおいて、本業、副業での労働時間を通算し、法定労働時間を超えるかどうかを労働者の自己申告などで把握しておく必要があります。

    これは副業先だけではなく、本業の事業所においても同様です。

  20. ご自身が勤めている会社の副業・兼業に関するルール(労働契約、就業規則等)を確認し、そのルールに照らして、業務内容や就業時間等が適切な副業・兼業を選択する必要があります。

    また、実際に副業・兼業を行うにあたっては、労働者と会社の双方が納得感をもって進めることができるよう、会社等と十分にコミュニケーションをとることが重要です。

    会社に副業規定があり、届出や許可を義務づけられている場合はその規定に従います。

  21. 夜勤とは、昼間と同じような仕事を夜間に行うことをいい、法定労働時間内(原則1日8時間、1週40時間)に勤務することをいいます。

    当然休憩時間は必要になり、22:00~翌05:00までの勤務時間については深夜割増(25%)が生じます。日昼の仕事の延長として夜勤に入る場合は、時間外割増(25%)+深夜割増(50%)の加算対象となることもあります(夜勤は労働時間通算の対象です)

    ※ 法令でいう「宿直」とは、通常の仕事よりも断続的、軽易な仕事を言い、睡眠も確保できて、頻度も週に1度程度などの条件を満たせば、労働基準監督署の許可を得て法定労働時間の枠外として許可されます(労働時間の通算なし)。

    また、宿泊については、どこまでが業務となるのか?の線引きがケースごとに異なるため、勤務実態や適法に作られた就業規則及び法令などに照らした判断となります。

  22. 政府の規制改革推進会議の答申案が6月6日、首相に提出され、兼業・副業の推進に向け、複数の企業で働く人の労働時間を通算する制度の見直し及び従業員の健康管理を前提に、通算で1日8時間以上働いた場合に生じる割増賃金に関して企業の支払い義務の緩和を求めています。

  23. 通算が必要です。また休日に限らず法定労働時間外の割増率については、平成22年4月の労働基準法改正では、大企業については、1カ月の法定時間外労働が60時間を超えた場合は、その時点(60時間超えたところ)から50%以上が割増、深夜残業の場合は75%(25%+50%)。

    中小企業は適用が猶予されていましたが、2022年4月1日から適用開始となります。

  24. 本業と副業の労働時間を通算し、法定労働時間を超えなければ割増賃金の対象にはなりませんので、最初から割増金額の表示のみでは誤解を生じる可能性があるので注意が必要です。

    基本賃金が明示され、それを根拠とした割増金額が表示され、求職者に理解されるように表示してあれば問題ありません

    ハローワークの求人書式では基本賃金が明示される仕組みになっています。

  25. 労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合には45分以上、同様に8時間を超える場合には60分以上の休憩時間を労働時間の途中に原則として一斉に与え、自由に利用させなければならない旨としています。

    同日に本業から副業へと移行した場合、労働時間の通算規定はあるものの、休憩時間に関しては付与の仕方や通算についての明確な規定はありません。

    本業・副業の労働時間及び休憩時間とのバランスを考え、現行の労基法の趣旨に沿った休憩時間の付与となるよう留意しつつ、今後の副業就労における環境整備が期待されます。