複数の職場でも安心して働くことができるような環境を整備する観点から、厚生労働省の労働政策審議会の部会が2019年12月23日に開かれ、副業など複数の職場で働く人を労災認定する際、すべての労働時間を合算した時間を基に、総合的に判断する方向性が示されました。
複数の勤務先での労働時間を合算して残業時間を算出できるようにし、労災の認定基準を超えているかどうかを判断。また、過労自殺を含む精神疾患の労災認定でも、認定の基準となる労働時間や心的な負担について、複数の勤務先の状況から総合的に判断することが打ち出されています。
現在、労災事故があっても労働時間は通算されず、災害発生先の労働時間のみで判断されていますが、時間の合算が法制化されれば、長時間労働などで労災認定されるケースが増えるとみられています。
また現在、休業補償給付等の算定は災害が発生した事業所の賃金に基づいていますが、法改正後は複数就業者については全就業先の賃金を合算した分を基に、労災保険給付の額の算定が行われることになります。通勤災害も同様とされています。
今年の通常国会に労災保険法などの改正案を提出し、早ければ来年度中の施行を目指すとされています。
なお、割増賃金の算定や長時間労働を防止するための、各事業主による労働者の就業時間の把握方法については今後の議論を待ちたいと思います。
第84回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会
開催日時 | 令和2年1月9日(木) 10:00~12:00 |
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開催場所 | 厚生労働省 共用第6会議室 |
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